答辞
窓際の制服にうつる陽の光
4月9日君をみつける
あの日、私たちは出会った
桜の美しいこの街で
これから起こるすべてに期待し、何かを待っていた
思い出は巡る。私たちの高校生活
歴史の刻まれた校門に迎えられ、一日が始まる
「おはよう」「おはよう」
授業中に目が合う友達
普段はふざけあっているあの人の真剣な横顔
方程式を追いつめる鉛筆の音
窓から見える空。卒業の日が遠く思えた
「何をしたいのか。何をすべきなのか」
不安が胸をふさいだ
夏の光に照りつけられたグラウンド
そこでの体育は最高に楽しかった
廊下の光と影。ひんやりとした壁を伝って現実に引き戻される
自分の明日が見えなかった
たくさん笑ってたくさん怒ってたくさん泣いた
そして気づいた。孤独や葛藤が自分を作ることを
どんな時も誰かがそばにいてくれたことを
他愛のないことが大切で
たくさんの優しさに包まれていたことを
喧嘩した翌日も手渡してくれたお弁当
「ごめんね」の代わりに残さず食べる
いつも素直になれなかったけれど
母さん、ありがとう。私の味方でいてくれて
夢ばかり見るなと言った父
本当は私を一番に考えてくれていた
最後には「叶えてこそ夢だ」と言ってくれた
父さん、ありがとう。私を信じてくれて
私たちは自分の未熟さに気づかない
時に我が儘を通そうとする
先生の言葉をまっすぐに受け入れられずに
その優しさをはねのけることもあった
今なら分かる。先生、本当に感謝しています
私たちは毎日を生きていかなければならない
どんなことがあっても
ささやかな日常を積み重ねて生きていくことが
自分の人生の支えとなることを知っている
ここでの時間が
友達との約束が
笑顔や涙の記憶が
今の自分を作っていることを知っている
友よ、忘れずにいよう
満開の桜並木を
突き抜けるほどの空の青さを
輝くような中庭の公孫樹の木を
君の肩に降る雪の白さを
そして、今日もいつものように変わらずに
手を振って別れよう
無限の可能性の中を進む今
わずかに光る自信を失うことなく
誇り高く生きていくことを誓って
卒業の言葉とします
或る高校の生徒代表の卒業式答辞です。 う~ん、何度読んでもシビレます。。。